大判例

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横浜地方裁判所 平成6年(行ウ)8号 判決

原告

株式会社総建(X)

右代表者代表取締役

市河政彦

被告

川崎市川崎区長(Y1) 小室正吾

川崎市(Y2)

右代表者市長

髙橋清

右両名訴訟復代理人弁護士

石津廣司

事実及び理由

第三 争点に対する判断

一  (本件区分家屋の床面積の算定について)

1(一)  法三五二条、建物区分所有法一四条一ないし三項によれば、本件区分家屋の固定資産税額は、本件建物にかかる固定資産税額を、各区分所有者の共用部分の共有持分の割合により按分した額となるところ、共有持分の割合は、結局各区分所有者の専有部分の床面積の、建物における割合となるから、その床面積の算定方法が問題となる。

(二)  〔証拠略〕によれば、市町村長は、法四〇三条一項の規定により、自治大臣が法三八八条一項の規定により定め、告示した固定資産評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならないとされ、固定資産税の課税に当たっての床面積の算定について、固定資産評価基準第二章第二節二の2は、「各階ごとに壁その他区画の中心線で囲まれた水平投影面積により、平方メートルを単位として算定した床部分(階段室又はこれに準ずるものは、各階の床面積に算入するものとし、吹抜の部分は、上階の床部分に算入しないものとする。)の面積によるものとし、一平方メートルの一〇〇分の一未満の端数は、切り捨てるものとする」としている。

また、法三八一条三項は、市町村長は、家屋課税台帳に、自治省令で定める様式によって、建物登記簿に登記されている家屋について不動産登記法九一条の規定により登記する事項を登録しなければならないと規定し、固定資産税の課税には、不動産登記法による登記が関連することを明らかにしているところ、不動産登記法施行令八条は、右床面積の算定について、右固定資産評価基準と同様の規定をしているから、固定資産税の課税における右床面積の算定は、原則として不動産登記法の例による取扱いとすることとされているものと認められる。そして、不動産登記についての通達である不動産登記事務取扱手続準則一四一条七号は、建物に付属する屋外の階段は、建物の床面積に算入しないものとしている。

(三)  次に、〔証拠略〕によれば、本件廊下及び階段は閉鎖された空間となっておらず、壁面の一方の上部は、かなりの高さにわたって開放されていることが認められ、そのうち、本件廊下は、屋外の階段と一体となっていて、階段の延長部分とみることができる。

(四)  本件処分は、右(二)の固定資産評価基準、不動産登記事務取扱手続準則に従い、右(三)のような本件廊下及び階段を床面積に算入せずに、右(一)の方法により、本件区分家屋にかかる固定資産税を賦課したものと認められる。

本件処分は、右のように、固定資産評価基準、不動産登記事務取扱手続準則に従ってされたものであるところ、これらの基準は前述のような根拠に基づくもので、結局、不動産登記法による登記の対象となるか否かにより、減額措置の対象となる床面積に算入するかどうかを定めるもので、合理的なものと認められる。

2  原告は、本件廊下及び階段のように、壁面の上方が解放されたものにつき、区分家屋の床面積に按分して算入された例があるとして、原告が建築、所有する富山町のマンションの例をあげる。

しかし、富山町のマンションにおいて、原告が床面積に算入されていると主張する部分は、〔証拠略〕によれば、その三方が壁となっているものであり、本件廊下及び階段とは構造が異なること、これらの部分は、不動産登記事務取扱手続準則一三六条一項によれば、「屋根及び周壁又はこれに類するもの」に当たるものとして、床面積に算入されたものと認められる。したがって富山町のマンションにおいても、固定資産税の課税における床面積の算定について、他と異なる運用がされたものとは認められず、本件廊下及び階段と異なる取扱がされているとする原告の主張は失当である。

そして、固定資産税の課税に当たり、本件廊下及び階段のように不動産登記法上、登記の対象とされない部分と、右のようにその対象とされる部分を区別することに、合理的な理由がないとはいえないから、このような扱いが違法であるということはできない。

3  また、原告は、本件建物の一階部分は、各区分所有者間において実質的に共有されているから、本件区分家屋の床面積に按分して算入すべきであると主張するが、〔証拠略〕によれば、右一階部分は原告の単独所有として登記されているところ、これが実質的に区分所有者により共有されていると認めるべき何らの証拠も存しないから、原告の主張は失当である。なお、仮に右の点が認められるとしても、右の主張が理由のないことは、前記被告の主張(二)で被告が主張するとおりである。

二(誤納金の還付を求める部分について)

右一によれば、本件処分には違法な点はなく、原告が納付すべき固定資産税額は、別紙納税額計算書のとおりであるから、原告が被告川崎市に対し、本件処分に基づき納付した右税が過誤納金となるという原告の主張は前提を欠くことになるが、そもそも被告川崎市に対する誤納金の返還を求める部分は、その前提となる本件処分が取り消されれば当然に還付加算金を賦課して返還されることとなるから、誤納金の返還を併合して提起する訴えの利益がなく、不適法である。

三(結論)

よって、原告の訴えのうち、被告川崎市に対し、誤納金の返還を求める部分は不適法であるから却下することとし、その余の請求については理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 浅野正樹 裁判官 秋武憲一 今井弘晃)

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